体外受精に鍼灸を併用して妊娠に至る3ヶ月の記録1-初期検査まで
40歳の不妊治療、母になる、リアル
今回、ご紹介させていただくのは、私のコーディネートで体外受精に鍼灸や漢方を併用して最短3ヶ月で成功された、たまきさん(仮名)ご本人による体験レポートです。
たまきさんとはご結婚される前からの長いお付き合いがあり、不妊治療に入る前からご相談をいただいておりました。今回はたまきさんのご協力で、リアルな不妊治療の現状を患者さま本人のお声でご報告させて頂きます。たまきさんにはご自身の経験から伝えられる全てをありのままに書いてくださり本当に感謝しています。
院長 宮下陽子
不妊治療に入る経緯・印象
私はそもそも結婚が40歳と遅く、当時は仕事で海外(夫は日本)にいたため、私の退職&帰国後は年齢を考え、迷わずすぐに積極的に不妊治療(体外受精)をしようと思っていました。
たとえ高齢でも自然妊娠の可能性がないわけではないので、いつになるかも分からずに大切な1ヶ月1ヶ月を無駄にできないと思ったためです。最初から第二子も視野に考えていました。
不妊治療の印象ですが、精神的にも金銭的にも大変で、女性の方が負担が大きいというものでしたが、私の場合は自然妊娠よりも妊娠の確率がかなり上がるという印象の方が強く、暗い(ネガティブな)印象はとくにありませんでした。体外受精をすることを家族や友人に隠すことなく話してもいました。
ということで、帰国前から、海外にいてもネットで情報収集をしました。ただ、不妊治療の専門病院は沢山、出てくるため、どこが良いのか?相談したのが宮下先生でした。
院長からのコメント
国際電話でお話ししたりメールでやり取りをさせて頂き、たまきさんに合いそうな病院をいくつかチョイスしてお教えしました。たまきさんとは以前からお付き合いさせて頂き性格などを知っていたことも参考になりました。(実は私の中では年齢やその方の性格などで合う病院、合わない病院を選んでいます。)
いちばん大切な事は、自分の弱いところを知る事です。卵巣機能が弱い方は、排卵誘発、培養液が良い病院、子宮の内膜が厚くならないなど子宮に問題があったら、シート法、ホルモン治療が上手な病院を選んで欲しいのです。今まで何人も有名なだけで自分に合わない病院に通い時間とお金を無駄に使ってしまった方を見てきました。
病院選び
最初は自分でネット検索をしましたが、新宿の病院が有名だとなんとなく分かりました。ただし、HP上での体外受精や費用の説明は複雑であまり理解できなかったので、宮下先生に相談すると丸の内の杉山産婦人科、銀座にある病院を紹介されました。
ただ、アドバイスでは銀座は最後の砦と考えている方が多いと伺い、まだ今はいいかなと思い、杉山産婦人科を検索してみるとHPの説明が端的で分かりやすく、いい意味で私が好むドライさを感じました。自転車で通院できることも大きなポイントでした。
私は直感で杉山産婦人科が合ってる感じたため、すぐに初診と説明会を予約して六本木ミットタウンでの説明会に主人と参加しました。
説明会では杉山院長がサバサバと短時間で要点のみを簡潔に説明して分かりやすく好印象でした。ただ人によってはそれを好まないだろうと思いました。
院長からのコメント
たまきさんになぜ、杉山産婦人科と銀座の病院をご紹介したかというのは、第一に年齢でした。年齢などを考慮して成功報酬を取っている病院もありますが、どんなに見た目がお若くても身体年齢は20代の方とは違います。時間との勝負です。
そう考えるとホルモン補充などしっかりできる病院がいいと考えました。また、杉山産婦人科は検査、日帰り手術が充実しているため、不妊治療の入り口で見つかった疾患に対する対処が早いという事もありました。
たまきさんの性格上、何度も病院に足を運ぶのが嫌だろうという事もわかっていましたが、銀座の病院の方はオーダーメイドの治療を望めるので紹介をしました。
鍼灸・漢方について
鍼治療は帰国後、すぐ週1回ペースで始めました。杉山産婦人科に行く1ヶ月前からです。
漢方は効果はあるとは思いつつも、当初はまず体外受精のみでも大丈夫かなと思っていたのですが、1回目の体外受精で異常受精となり移植までいかなかったことを受け、危機感が一気に増し、できることは何でもしないと妊娠はできないと思い、すぐ宮下先生の紹介で日本橋のイスクラ薬局へ行き、婦人科のお医者さんでもあるN先生にお世話になることになりました。
鍼灸・漢方は高額でしたが、短期決戦と考え納得しました。治療の度に宮下先生から得られる情報は貴重で、体外受精の経過を話せることは精神的にもかなり救われました。(夫より頼りになったです)鍼灸と漢方は妊娠のためというより、健康的な体作りを目的としているため、たとえすぐ妊娠に繋がらなくてもお金をかける意味は大きいと思いました。
院長からのコメント
私は自分自身、高齢出産でしたし妊娠前から漢方薬を飲み鍼灸治療をしていましたので、その効果を実感しています。私は37歳でタイミング法で3ヶ月で妊娠しました。
その経験から妊娠を意識する前からの身体作りの大切さをお伝えしたいのです。
また、漢方薬は1ヶ月にするとお高いかもしれませんが何度も体外受精を繰り返すよりは短期決戦をお考えになる場合はお安いと思います。
私は患者さまに日本橋のイスクラ薬局をお勧めしています。それは自社工場を中国に持ち生薬の管理がきちんとされている点とN先生は婦人科のお医者様で西洋医学の視点からもお身体の相談にものって頂けるからです。
鍼灸も漢方も医療費控除の対象になりますのでみなさまのファーストチョイスに取り入れて頂けることを願っています。
初期検査の経過
不妊治療の始まりは初期検査からでした。この検査で現在の自分の身体の状態がだいたいわかると思います。最近、注目されているのがAMHの数値で卵巣機能が年齢より上か下かというのがわかるようで、とても気になりました。
1回目の検査
内診(超音波検査)、血液検査(クラミジア、感染症、卵巣機能)→子宮、卵胞異常なし
2回目の検査(前回の2日後)
フーナー検査(前夜または当日の朝にセックスをして12時間以内に来院。精子と頚管粘液との相性をみて自然妊娠の可能性をはかる)→問題なし
3回目の検査(前回の7日後)
排卵、ホルモンの検査
黄体期ホルモン検査のため採血
2回目の血液検査および排卵、卵巣機能 問題なし
4回目の検査(前回の2週間後)
採血のみ(生理中ホルモン検査)
5回目の検査(前回の5日後)
卵管造影、子宮鏡検査→問題なし
黄体期、生理中ホルモン検査(血液検査)→問題なし
初期検査は以上。先生からは検査の結果に特に問題がないのでタイミングも勧められましたが、次回生理が来たら体外受精開始を夫婦で強く希望しました。
初期検査は生理の日程によって検査項目が決まっていて、トントン拍子に進むものの結局、約1ヶ月はかかりました。婦人科系の精密検査を受けている感じでした。そして採血が多かったです。
毎回結果を聞くときはドキドキしましたが、幸い全項目問題がなかったため(特にAMHの数値が良かったため)、体外受精への期待が高まりました。私は実年齢より5歳くらい若いという結果で少し安心しました。
通院が週末の場合は夫も同行してくれて心配して支えてくれるものの、実際には検査内容の詳しいことまでは理解していない様子です。ただ、すぐにでも体外受精をという不妊治療に対する積極的な考え方は同一だったため、精神的に楽でした。
院長からのコメント
たまきさんのご夫婦のように ご主人様が協力的なのは、奥様にとって心強いです。ほとんどの方が周りの友達やご主人方のご両親にお話していない事が多いのです。
難しい事は分からなくて大丈夫です。優しい一言を大切にして下さい。また、夫婦間で意見を確認しておくのも大切な事です。ご主人様に原因がある事もありますので、他人事、女性任せはダメです。
こちらは初期検査の血液検査のデータです。「AMH抗ミュラー管ホルモン」とは聞きなれないかもしれませんが、卵巣年齢を知る上で重要なホルモンなのです。つまり卵巣機能の予備能力を示す指標になるものです。
この数値は胞状卵胞数(卵子の在庫)を表します。たまきさんは身体年齢がお若いということだと思います。20代の方でもAMHが40歳以上の方もいました。でも、この数値と卵の質は違います。鍼灸は卵の質を上げるのに効果が期待できると思います。
もう一つ、とても大切な検査がありあます。風疹の抗体検査です。実は私は子どものころ風疹にかかったことがなく、予防接種もしていなかったため、姙娠初期の検査で病院から慌てて電話がかかってきました。
幸い妊娠中、風疹にかからず無事に出産できましたが、その数年後、風疹の流行があり先天風疹症候群の赤ちゃんが多く誕生したというニュースを見て、とても悲しくなりました。
風疹症候群は予防できる病気なので、これからお父さん、お母さんになられる方は、まず自分に風疹の抗体があるか絶対に検査して予防接種をしてください。風疹の予防接種率の低い世代の方もいらっしゃるようなので、ご自分が該当するかどうかもご確認ください。
次回は体外受精から妊娠判定までのレポートをお送りします。