鍼灸師として二人目不妊について考える
第一子を自然妊娠で授かり、生殖機能にも異常がないにも関わらず第二子ができない「二人目不妊」にお悩みのご夫婦が増えています。どうしてこのような状態になるのでしょうか?
原因は大きく分けて「体質の変化」「タイミング」「育児疲れ」の3つが挙げられます。まず体質の変化ですが、最近は30代後半に第一子を出産される方が増えており、ホルモンバランスの乱れが考えられます。また、出産による身体の変化を感じる方も多く、出産後から今までになかった身体の不調が出てくるといったこともあります。軽度の排卵障害で第一子は妊娠したものの、その後悪化することもございます。「1度、妊娠しているから」と、不妊を放置しないで、婦人科で検査をすることも大事です。
二つ目は「タイミング」です。育児中はとにかく子どもの生活リズムに合わせなくてはなりません。そのため、お互いのタイミング合わせられないことが多く、二人目不妊の原因のひとつとなっているようです。
三つ目は「育児疲れ」です。リラックスしたり、休息の時間を適度に取れる場合はよいですが、疲労やストレスが蓄積すると身体の機能を低下させてしまいます。強い疲労を感じている場合は、周囲に頼れる場合は頼るようにしたり、保育サービスなどを利用できる場合は利用し、夫婦で育児や家事の分担をして負担を軽減させることが大切です。
東洋医学的に二人目不妊を考察
私の鍼灸師としての経験から二人目不妊を東洋医学的に考えますと、育児中は普段より体力を消耗しているため、体の「気」が不足していることが考えられます。私自身もそうでしたが、思い返すと妊娠前と育児中では体調の変化を感じました。当院へいらした第二子希望の患者様も、風邪をひきやすい、疲れやすいという方が多く、膀胱炎や膣炎などになりやすくなった方もいらっしゃいます。
また、妊娠前に小さかった子宮筋腫がエストロゲンというホルモンの影響で大きくなることもあります。子宮筋腫は東洋医学的には「血」の巡りが悪い状態である「瘀血(おけつ)」と深く関わりがあります。
鍼灸治療は、「気」や「血」の巡りを調え、疲労を回復し、体質を改善させ、体年齢を若がえらせることで妊娠を促す効果があると考えられます。以下に参考までに実際の治療例をご紹介いたします。
二人目不妊の鍼灸治療例 Aさん 43歳
二人目の妊娠を希望し、半年前から体外受精を数回行うも妊娠せず、卵子の質も悪く、数が取れないとのことでした。お体の状態としては、手足の冷えが強く、臍から下腹部に強い緊張がありました。治療は週に1回の頻度で行い、開始してから初めての生理で普段より出血量が増えたとのことです。これは腹部に鬱滞していた瘀血が出たと解釈することができます。
治療開始から2ヶ月後の体外受精で陽性反応が出ましたが、子宮外妊娠の疑いがあり、結果として化学流産されました。その後、流産後の子宮の回復を促す治療と、瘀血を出し切る治療を行い、手足の冷えも改善されます。ご本人も冷えが軽減されたとの自覚があるとのことでした。体質が改善したことで流産後2ヶ月してから体外受精を再開し、再開後3ヶ月で無事に妊娠することができました。年齢に加え、卵子の質や数から考えて難しい症例でしたが、妊娠することができ、担当の医師にも奇跡的だと喜ばれたそうです。
院長 宮下陽子
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※施術の結果には個人差がございます。施術例は効果を完全に保証するものではなく、参考として掲載していることをご理解いただきますようお願いいたします。