桐花堂の鍼灸治療症例集
※施術の結果には個人差がございます。施術例は効果を完全に保証するものではなく、参考として掲載していることをご理解いただきますようお願いいたします。
不妊症に対する鍼灸治療例
39歳:生理痛の改善とともに自然妊娠
生理の期間3日まで寝込んでしまうほどの強い生理痛があり、全身の状態としては、手足、腹部の冷えがあり、また、東洋医学的に瘀血(おけつ)の所見である下腹部のしこりが認められ、肩の強ばりや腰痛もありました。鍼灸治療は、週に1回の頻度で行い、1ヶ月目後の生理から、生理痛は軽減し、半年後、ほぼ生理痛は改善されます。また、継続するにつれて、手足の冷え、腹部の冷えが改善され、下腹部の緊張も消失していきます。ご本人も体調が良いことを実感していたようで、治療開始から10ヶ月後に、自然妊娠に至りました。
本ケースは、極度の冷えが、体の血流、骨盤内の血流を妨げ、子宮、卵巣の働きを抑制していたと考えられます。下腹部に瘀血反応と思われるしこりがありましたが、その瘀血が改善されたことで妊娠しやすい状態になったと思われます。
二人目不妊の鍼灸治療例 Aさん 43歳
二人目の妊娠を希望し、半年前から体外受精を数回行うも妊娠せず、卵子の質も悪く、数が取れないとのことでした。お体の状態としては、手足の冷えが強く、臍から下腹部に強い緊張がありました。治療は週に1回の頻度で行い、開始してから初めての生理で普段より出血量が増えたとのことです。これは腹部に鬱滞していた瘀血が出たと解釈することができます。
治療開始から2ヶ月後の体外受精で陽性反応が出ましたが、子宮外妊娠の疑いがあり、結果として化学流産されました。その後、流産後の子宮の回復を促す治療と、瘀血を出し切る治療を行い、手足の冷えも改善されます。ご本人も冷えが軽減されたとの自覚があるとのことでした。体質が改善したことで流産後2ヶ月してから体外受精を再開し、再開後3ヶ月で無事に妊娠することができました。年齢に加え、卵子の質や数から考えて難しい症例でしたが、妊娠することができ、担当の医師にも奇跡的だと喜ばれたそうです。
43歳:結婚半年、流産2回、不育症で来院
もともと不育症の原因として多発性筋腫が考えられていましたが、医師から高齢ではあるが自然妊娠が全く不可能ではないとの診断を受け、鍼灸治療を希望され当院を受診されました。
診断と治療
東洋医学では脈診という診断方法があります。私の治療のポイントのひとつはこの脈診でどのタイプの脈が出ているかにより、治療の方針を変えていくことです。この方の場合、脈を診ると腎虚で、驚く事に多発性筋腫があるにも関わらず婦人科疾患での脈が出ていませんでした。
東洋医学では、腎は生殖能力と深く関係していると考えており、腎虚とはその働きの低下を意味します。そのため、治療を行う際は、腎と関連するつぼを選択し、補法という鍼やお灸の技術を用いていきます。
腎を補う治療の他に、手足と下腹部、臀部に冷えが強かったため、三陰交に灸頭鍼、足の足底穴への多層灸、腹部、臀部への灸頭鍼を温まるまでやりました。
経過・結果
この様なシンプルな治療を続ける事で次の生理に出血量が増え、25日だった生理周期が28日になったとの事でした。3カ月すると足と下腹部の冷えが改善されたので灸頭鍼から普通のお灸に戻し、臀部の次髎というツボへ10壮のお灸を加える様にしました※。治療を開始して半年間は妊娠の兆候がありませんでしたが、7カ月目に自然妊娠に至り、今季は流産もせず順調です。
この方の場合、年齢的なものや多発性筋腫をお持ちということで自然妊娠が難しいと思われましたが、身体年齢をリセット出来た事と子宮の状態を調えたことで妊娠に至ったと思われます。
※壮はお灸をカウントする時の数詞