不妊症や月経トラブルなど、女性の症状と深い関係にある瘀血とは
東洋医学では、婦人科系の症状をはじめとした、女性の様々な症状に「瘀血(おけつ)」が関係していると考えられています。この瘀血という状態は、血行不良によって停滞した血ととらえられており、微小循環障害と呼ばれることもあります。血のめぐりが良いと病気になりづらいというのは皆さんご存じでしょうが、瘀血はその逆の状態です。
瘀血体質かどうかを見分ける簡単な方法としては、目の下のクマがあります。目の下の皮膚はたいへん薄く、すぐ下にある毛細血管の色の変化が観察しやすくなっており、慢性的にクマがある場合は瘀血体質である可能性があります。一時的なものとしては、例えば睡眠不足や疲労・ストレスなどが重なると血流が悪くなり、目の下のクマとなって表れたりします。
瘀血と冷え症
冷えや低体温は瘀血と関係が深く、冷え症はおもに手足の末端の冷えで、低体温症は深部体温が低いことを指していいます。低体温症は免疫力の著しい低下も引き起こしますし、末梢の循環障害が様々な症状と関係しています。いちど瘀血が形成されてしまうと、瘀血が血流を悪くして冷えとなり、冷えが瘀血を生み、その瘀血がまた冷え症を悪化させる悪循環に陥りやすいので、日頃から意識して身体を冷やさないようにする注意が必要です。
不妊症との関係性
東洋医学的には、不妊症は冷えや瘀血が原因で子宮の働きが悪く、母胎が赤ちゃんを受け入れる準備が整っていないからであると考えております。よりよく着床するために腹部の瘀血を解消し、子宮の環境を良くしてあげれば、自然に妊娠できる身体になっていきます。瘀血体質で不妊症の方は、生理不順や生理痛があり、手足の冷えが強く、下腹部を触診すると緊張が強く、中にはしこりのようなものが触れることもあります。
瘀血体質を鍼灸で解消
瘀血体質の改善には鍼灸が効果的です。月経に問題のある場合は、お腹や腰周りへお灸を続けることで腹部の瘀血を小さくしていき、血流の阻害を解消していくことで症状が軽減されていきます。不妊症の方の場合は、腹部の血流が良くなり、子宮や卵巣の働きが改善すると、自然と赤ちゃんもできやすくなっていきます。
また、症状が全身的に出ている場合は、手や足の冷えなども同時に治療し、全体の血流を良くしていくようにします。例えば、目のくまや、肌荒れなどは、部分的に顔へばかり鍼をしても根本的な解決にはならず、全体的な治療が必要です。
このように、全身の緊張をほぐし、身体を温める鍼灸は、血流障害である瘀血の方にたいへん向いている治療法です。お灸は家でも簡単にできますので、ご希望の方にはセルフケアの方法を個別にお教えしております。