若年性更年期障害の治療をする上で大切なこと
20代から30代にかけて、生理不順や無月経などでお困りの方が最近増えています。その中でも、検査で具体的に子宮や卵巣の病気がみつからず、ストレスなどによる女性ホルモンのバランスの崩れが原因の場合、更年期障害と似た症状を併発することがあります。
症状としては、のぼせ、だるさ、冷え、動悸、不眠、食欲不振など様々で、若年性更年期障害とも呼ばれることもあります。
また、気分が不安定な状態になることもあり、中には通常は短期間の服用ですませるべき、うつ症状などにも用いられる依存性のあるお薬を長期間服用してしまっているような方もいらっしゃいます。
おおもとはストレスや生活習慣の乱れによる自律神経の失調
若年性更年期の原因は、ストレスや過労、過度のダイエット、睡眠不足など、生活習慣の乱れによって、自律神経のバランスが崩れ、最終的に子宮や卵巣の働きを悪くさせるために引きおこされると考えられています。
病のおおもとが自律神経のバランスの崩れなので、症状が複数同時に出現することがほとんどです。また、月経不順や無月経は、間接的に不妊症の原因なるということも考えられます。
若年性更年期障害の鍼灸治療
現代医学的な治療はホルモン療法などがございますが、薬に頼りたくない場合や、いまひとつ効果がでない場合、東洋医学を選択することで治癒に向かうこともございます。
東洋医学の古い文献には、現代の更年期障害と同じような症状の治療記録が残されており、鍼灸は昔から使い続けられている治療手段です。その中には「女子はその血を調える」という記載があり、女性の病の多くは血のめぐりや月経不順を調える事で解決できると考えられています。
冷えの改善をして血流バランスを良くする
血液循環を良くするひとつの手段として、冷えの改善があげられます。身体の冷えは、血管を収縮させ、血流を阻害してしまう原因となります。冷えは部分的に強い場合が多く、例えば、上半身は熱感があり、下半身だけ冷えたりすることがあります。この場合、身体のバランスをみずに全体を温めると、上半身の熱感も同時に強まり、のぼせや疲労感を悪化させてしまいますが、鍼灸治療の場合は、冷えている場所を部分的に温めることが可能です。
冷えている場所を狙って温めると、不思議と熱感の強い場所とのバランスがとれて、ホットフラッシュ等の症状が緩和されていきます。また、末梢の循環を良くすることで、心身ともにリラックスさせることができます。
腹部の緊張を緩める
女性ホルモンは子宮や卵巣と大きく関係していますが、それらを入れる容器としての骨盤内の循環が悪いと、ホルモンバランスを乱してしまいます。婦人科系の症状のお持ちの方のほとんどに、腹部や腰部の緊張が見られ、これらが骨盤内の循環を阻害していると考えられます。鍼灸治療では、下腹部や、臀部、腰の緊張状態を把握して、緊張を緩めるようにしていきます。