夏バテ対策におすすめの健康茶6選

食養生   蛭子喜隆

夏ばてのタイプによってお茶を選んでいく

 今回は夏ばてを「湿熱タイプ」と「寒邪タイプ」に分類し、それぞれに合った効果的な健康茶をご紹介します。

湿熱タイプの夏バテ

 湿熱とは、過度な暑気(暑邪)と過度な湿気(湿邪)のことで、これが夏に体調を崩す主な原因になり、特に高温多湿の場所で活動している方は要注意です。

 夏は気温が高い上に、体内に余分な熱がこもりやすいので、体の外に熱を発散させる必要があります。つまり、ポイントは、東洋医学の言葉であらわすと、清熱(体内の余分な熱を冷ます)と利湿(利尿作用を高め、水分代謝をよくする)にあります。

 清熱作用のお茶は寒涼の薬性をもっておりますので、夏バテで胃腸も弱り、食欲もない場合は、冷たくしすぎずに常温のものを飲む方がよいでしょう。

ゴーヤ茶

ゴーヤは夏におすすめの食材でもあります。

ゴーヤ(苦瓜)の薬味・薬性は、苦・寒。主治は「除邪熱(邪熱を除く)」。(『本草綱目』巻二十八)

 「苦寒清熱(苦寒にて熱をさます)」作用によって体内の余分な熱を冷まし、余分な水分も排出したい時に効果的。

オオバコ茶

 オオバコの薬味・薬性は、甘・寒(『本草綱目』巻十六)。

 オオバコ(大葉子)は、生薬名を「車前」といい、漢方でよく使われる「車前子」はオオバコの種子だけを乾燥させたものです。車前は『本草綱目』で「主治は、氣癃・止痛、水道小便を利し、湿痺を除く(氣癃止痛.利水道小便.除濕痺)」と記されているように利尿作用が期待でき、「氣癃(小便の出渋り)」や「湿痺」などの水毒の症状を改善します。

「甘寒滋潤(甘寒にて滋潤する)」作用によって清熱だけでなく滋潤効果も期待できます。体内の余分な熱や水分を排出しながら、潤いも与えるので脱水気味なときに選ぶと良いでしょう。

梅こんぶ茶(梅実&昆布)

 梅(梅実)の薬味・薬性は、酸・平(『神農本草経』巻三)。

 昆布の薬味・薬性は、鹹・寒・滑(『本草綱目』巻十九)。

「鹹寒増液(鹹寒にて液を増す)」作用により、ほてった体内の熱を冷まし、発汗によって不足した水分を補うのに有効です。

 現代栄養学の観点からも、大量の汗をかいた時はミネラル分も失われてしまいますので、ミネラルやビタミンが豊富で、しかも寒涼の薬性をもつ健康茶「梅こんぶ茶」がよいと言えるでしょう。

寒邪タイプの夏バテ

 現代は冷房があるため夏でも体を冷やし過ぎてしまうので、過度な寒気(寒邪)が病気の原因になります。冷房病はその典型例です。

 ただし、冷房そのものが悪いというわけではありません。冷房を上手に使えば、暑邪(過度な暑気)と湿邪(過度な湿気)をコントロールすることも可能で、暑熱を冷まし、湿気を少なくすることができます。

 夏の養生法は、いかにして冷房による過度な寒気を避け、余分な湿気・暑気(熱気)を体内に留めないかが重要なポイントになります。

 冷房病に代表される寒邪タイプの夏バテには、温熱の薬性をもつ健康茶がおススメです。

軽度の冷房病の場合

 軽度の冷房病であれば、冷気は皮膚表面のみで留まっているので「辛温解表(辛温にて表を解す)」を目的とした薬性をもつ健康茶が効果的です。

紫蘇茶

 紫蘇の薬味・薬性は、辛・温(『食物本草』巻十九)。

茉莉花茶

 ジャスミン(茉莉花)の薬味・薬性は、辛・熱(『本草綱目』巻十四)。

重度の冷房病の場合

 重度の冷房病の場合、寒冷の邪気が体表だけではなく皮膚の深部まで入り込んでいるので体の内側からよく温めることのできる温熱剤(温熱の薬性をもつもの)を使うのが基本になります。『梅雨の時期の養生法-おすすめの健康茶』で紹介した玫塊花茶・よもぎ茶もよいでしょう。

しょうが湯

 しょうが(乾姜)の薬味・薬性は、辛・温大熱(『新修本草』巻八)。

 重度の場合は、真冬に冷えきってしまったのと同じような状態になりますので、寒い冬の時期に愛飲する方が多い生姜湯がよいでしょう。