梅雨の体調不良に効果的な健康茶4選
食養生 蛭子喜隆梅雨の時期になると体調を崩す方は多いと思いますが、今回は中国茶のお店やドラッグストアなどで手軽に買うことのできる健康茶での食養法をご紹介します。
湿気が梅雨の体調不良の原因に
東洋医学では、冒頭で挙げたような症状は、主に過度の湿気が関係していると考えています。梅雨の季節は特に気温や湿度の変化がはげしいため、その影響は大きく、湿気により体内の水はけが悪くなるので、むくみやすくなったり、身体が重だるくなったりします。
また、このような体に悪影響を与えている湿気は「湿邪」や「水毒(すいどく)」とも呼ばれ、現代風に言えば、水分代謝の低下によって体内に余分な水分が溜まっている状態です。
東洋医学の文献にみられる水毒の治療法
「水毒」は東洋医学の文献中では、「痰飲」「湿痺」「水腫」などの言葉で説明されていおり、中国古代の医学書『金匱要略』には痰飲(水毒)の治療法が次のように記載されています。
痰飲を病む者は、まさに温薬をもってこれを和すべし。(病痰飮者當以温藥和之—卷中第十二)
つまり、痰飲(水毒)の治療には温める性質の薬剤を使用するということになります。
また、『素問』という医学書には、湿邪が飲食の消化吸収や水分代謝と関係の深い「脾」を弱らせるとあります。
脾は湿に苦しむ。急ぎて苦を食し、もってこれを燥す。(脾苦濕。急食苦以燥之。—藏氣法時論篇)
湿邪が脾臓を弱らせると消化吸収や水分代謝の働きが低下し、むくむ・だるい・食べたくない・体が冷えるなどの症状がでてしまいます。『素問』では、苦味のものが湿邪によい食べ物としてあげられています。
以上のように、湿邪や水毒には、苦味と温性のものを摂取することが良いとわかります。漢方薬では「苦温燥湿」(苦温にて湿を燥[かわか]す)といって苦温剤という、水はけを良くする薬剤が用いられます。
それでは、このような漢方的な考え方を応用した、苦温の薬性をもつ健康茶を以下に紹介します。
健康茶の紹介
菊花茶+ジャスミン茶(茉莉花茶)
菊花の薬味・薬性は、苦・平。(『神農本草経』)
茉莉花の薬味・薬性は、辛・熱。(『本草綱目』)
『神農本草経』という古代の医学書には菊花の効能として湿痺(水毒)が挙げられておりますが、ここに熱の薬性を持つジャスミン茶(辛・熱)をブレンドすることで、苦温の薬性をもつお茶になります。どちらも中国茶のお店でよくみかける手軽なものです。
玫塊花茶(バラの花茶)
薬味・薬性は、甘・微苦・温。(『食物本草』)
玫塊(マイカイ)は、バラ科ハマナスのことです。バラ科ハマナスの花のつぼみを使っており、香りも楽しめます。現代栄養学的にはビタミンが多く、美肌を期待して飲む方もいらっしゃるようです。
よもぎ茶
薬味・薬性は、苦・微温。(『証類本草』)
お団子や、お灸に使うもぐさでもお馴染みのよもぎは、お茶にすると特有の苦味があります。また、鉄分やカルシウムなども含まれているようです。