頻尿に対する鍼灸治療について

 頻尿の症状といえば、トイレが近い、尿の回数が多くなるなどがあります。一般的には、1日の排尿回数が8回以上になることを頻尿と定義されていますが、頻尿回数が8回以下であっても頻尿と感じる場合にはそう呼ぶこともあるようです。(1)

頻尿の主な原因

頻尿の原因

 頻尿の主な原因としてはおもに5つの原因を挙げることができます。1つ目は膀胱炎などの感染症によるもの、2つ目は膀胱が過敏になってしまう過活動膀胱、3つ目は面接や試験などで緊張やストレスを感じることでおきる心因性のもの、4つ目は自律神経失調症によるもの、5つ目は前立腺肥大症によるものが挙げられます。

①細菌感染による膀胱炎・尿道炎・前立腺炎などによるもの

 膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などの炎症性の病気が、突然の頻尿になる原因として最も多いようで、細菌感染による頻尿のケースでは、排尿時に痛みを感じたり、尿が濁ったりすることがあります。(2)

②過活動膀胱によるもの

 過活動膀胱は、尿がまだ少量しか貯まっていないのに膀胱が必要以上に活動しすぎて排尿しようとしている状態のことです。また、自律神経のバランスが崩れてしまうことでも排尿活動が乱れがちになり、膀胱を尿に貯めにくくなって過活動膀胱になります。

 過活動膀胱によって、突然我慢できないほどの強い尿意をもよおし、トイレに行きたくなります。急な尿意に襲われるので漏れそうになったり、ときには間に合わずに漏れてしまうこともあります。「尿意切迫感」といいますが、急に尿意を感じてトイレに駆け込むのも過活動膀胱による頻尿の特徴になります。

 過活動膀胱の原因には、排尿をコントロールしている膀胱の神経のトラブルによる「神経因性過活動膀胱」と排尿・排便にも関わっている骨盤底筋群の衰えなどによって起こる「非神経因性過活動膀胱」、さらには原因不明のものを挙げることができます。非神経因性過活動膀胱が原因のケースでは、骨盤底筋を鍛える体操などをすることで改善することが期待できます。

③ストレス・不安・緊張などによる心因性のもの(神経性頻尿)

神経性頻尿

 おもに精神的ストレスや不安感など心因性の頻尿を「神経性頻尿」と言います。真面目な性格、責任感の強いタイプの人がかかりやすいと言われます。心の不調が身体の症状として出てしまう心身症の一種になります。東洋医学のことばに「心身一如」という言い方があり、心と身体は表裏一体で相互作用があるというような意味になりますが、自律神経の失調も関わる心身症も針灸治療の有効な分野になります。

④自律神経失調症によるもの

 排尿には、自律神経も関わっています。自律神経は、活動時に優位に働く交感神経とリラックス時に優位に働く副交感神経がうまく切り替わって活動しています。自律神経が正常に働いている時は、リラックス時に副交感神経が活発に働くことで尿道括約筋がゆるみ、膀胱は収縮するので、尿意を感じやすくなって排尿しやすくなります。逆に交感神経が活発に働くことで膀胱は拡張するので、尿意は感じにくくなって蓄尿しやすくなります。

 入学や入社のための面接や試験などで過度のストレスや緊張にさらされたり、慢性的な不眠症などで自律神経のバランスなどが崩れることで頻尿になることがあります。上記の「神経性頻尿」と重なる所も多くあります。

⑤前立腺肥大症によるもの

 前立腺肥大症は男性特有のものになります。前立腺の肥大により尿道が圧迫され、尿が出にくくなります。夜間頻尿や残尿感、尿の勢いが弱まるなどの排尿障害がでてしまいます。

夜間頻尿

 頻尿には、昼間頻尿と夜間頻尿がありますが、割合としては夜間頻尿のトラブルで困っている人の方が多く、40歳以上の男女では、約4,500万人が夜間1回以上排尿のために起きるとされています。そして、夜間頻尿の原因は夜間多尿・膀胱容量の減少・睡眠障害などに分類されるようです。(1)

 夜間頻尿は、夜中に何度もトイレに行くことで睡眠の質が低下してしまい、慢性的な睡眠不足にもなります。それによって日常生活にも支障をきたしてしまいます。ただし、心不全など心臓の機能低下や糖尿病などによって夜間頻尿になるケースもありますので、ケースによっては医療機関での検査の必要性も当然あります。

頻尿に対する当院の鍼灸治療

 どのようなタイプの頻尿であっても症状が進んでしまうと、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまいます。その状態が長く続いてしまうと不眠症やうつ病などにつながっていくこともあるので軽症のうちから上手に治してしまうことが大切です。

①泌尿器系・頻尿に効果的なツボ(経穴)を刺激する

 泌尿器系・頻尿に効果的なツボ(経穴)を針または灸で刺激することで頻尿の改善を目指します。おもにお腹・腰まわりや足先にかけてツボの反応を見ながら頻尿に効果的なツボを刺激し、治療します。当院では、先人の智慧の集積としての針灸医学の古典なども積極的に活用しています。

頻尿のつぼ

 針灸医学の古典の中では「小便數(小便数)」の言葉が頻尿に該当します。ほかにも古典中の「淋」という言葉は膀胱炎などの感染症に該当していると思われます。ほんの一例ですが、臍(ヘソ)の下に関元(關元)という名のツボがありますが、日本現存最古の医学書『医心方』(卷第二)や唐代の医学書『外台秘要』(第三十九卷)などで関元のツボの効用として「小便数」つまり頻尿に有効であると書いてあります。さらに詳しく見ると、「淋」(膀胱炎などの感染症)についても関元のツボに五十壮(回)や三十壮(回)のお灸をしなさいと指示している所もあります。その他にもたくさんのツボが挙げられていますが、東洋医学の専門用語でいうところの「腎虚」や「消渇」(現代の糖尿病に該当)によるのか、それとも「肺萎」によるのかなど原因によって治療方針も異なります。(6)(7)

②自律神経のバランスを整える

 全身のバランスを意識して、交感神経と副交感神経のバランスを整えることで自律神経のバランスを改善します。心と体の関係をつなぐ自律神経のバランスが崩れてしまうと正常な排尿ができなくなってしまい、過活動膀胱や神経性頻尿などになるリスクもでてきます。鍼灸による全身治療によって自律神経のバランスも整えていきます。

③四肢末端・下半身の冷えやむくみを改善する

 血流が悪いことによって冷えやむくみが出ていますので針や灸によるツボ刺激やストレッチ体操などの生活指導も交えながら血流改善を目指します。

 病院で処方された頻尿の薬を飲んでみたものの、あまり改善しないケースでも針灸治療を併用することで効果が期待できることがあります。頻尿にはいろいろな原因があり、知れば知るほど奥の深い頻尿ですが、原因をしっかり見極めて適切な治療によって症状の改善を目指します。治療院での治療以外でも自宅でできる頻尿改善のお灸の指導などもさせて頂きます。

参考文献

  • (1)日本泌尿器学会
  • (2)『尿の知識』(伊藤機一 著、東海大学出版会)
  • (3)『名医の図解 よくわかる泌尿器の病気』(堀江重郎 著、主婦と生活社)
  • (4)『急病 針灸典籍通覧』(上海科学技術出版社)
  • (5)『素問・霊枢』(影印本、日本経絡学会)
  • (6)『医心方』(淺倉屋臧板・影印本、人民衛生出版社)
  • (7)『外台秘要』(影印本、人民衛生出版社)
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