顔面神経麻痺のセルフケアの注意点とおすすめのツボ

はじめに

 ベル麻痺やハント症候群などの顔面神経麻痺は顔半分の筋肉が自分の思うように動かせなくなる病気です。発症する前に耳の奥が痛かったという患者さんも多く、発症後には耳の聞こえ方に症状が出る場合もあります。その原因は、顔面神経と内耳神経の通り道が近くにあるためだと考えられます。また顔面神経は味覚や涙・唾液の分泌や音の調節にも一部分で関わっているので、どの部位にダメージを受けたかによって表情筋の麻痺以外にもいろいろな症状が出てしまいます。

セルフケアは大切

 顔面神経麻痺になっても神経のダメージが軽い場合、セルフケアなどしなくても自然治癒力によって完治してしまいます。神経の受けたダメージが強い場合、顔面神経麻痺の発症後に注意すべきことは、顔面の表情筋の廃用性萎縮についてです。廃用性萎縮というのは、使わない筋肉が衰えて萎縮していってしまうことをいいます。筋肉は使ってあげないと凝り固まっていってしまうので、神経が再生して動かせるようになるまでは筋肉が固まらないようにセルフケアすることを強くおすすめします。

 顔面神経と一言でいっても額・目の周囲・頬・唇まわり・顎・首筋など顔面の広い範囲に分布しています。顔面神経は脳から出て顔面神経管という骨の管や耳下腺を通り、ちょうど耳の下あたりで5本の枝に別れて表情筋に分布しています。この5本の枝をちゃんと知っていると、5本の内のどこの枝がまだ再生していないかがよく分かります。またセルフケアする上でも効率的に神経の再生を促すことができます。

顔面の表情筋に分布する5枝

側頭枝

眉毛を持ち上げる前頭筋に関わっています。麻痺によって眉毛や瞼(まぶた)が垂れ下がったままになり、左右差が出てしまいます。

頬骨枝

瞼(まぶた)を閉じる眼輪筋に関わっています。麻痺によってまぶたを充分に閉じることができなくなるので目が乾燥し、涙がよく流れてドライアイになりやすくなります。

頬筋枝

頬の筋肉に関わっています。口角をあげる筋肉の動きにも関わっています。麻痺によって頬の筋肉が下がってしまい、ほうれい線に左右差がでたり、笑った時にも左右非対称が目立ったりします。

下顎縁枝

口角を下に動かす筋肉に関わっています。麻痺によって口角を下げる動きができなくなり、やはり左右のアンバランスが目立って口がゆがんでしまいます。

頸枝

頚部の広頚筋という筋肉に関わります。広頚筋が動かないことによる機能的な問題は少ないのですが、まれに筋張って気になるというケースもあります。

 顔面神経麻痺にはいろいろなパターンがあり、上記の5枝すべてが麻痺するケースもあれば、1枝は動いて4枝が麻痺するケースなどもあります。また顔面神経麻痺の治り方としては5本の枝が同時に良くなってしまうこともありますが、5本の枝がそれぞれ時期を異にして治っていくことも多くあります。治りが遅い枝をほどよくマッサージや温熱などで刺激し血行を改善してあげることで改善を促すことができます。ただし、強すぎるマッサージなど不適切といわれている方法で行うと後遺症が出やすくなる可能性もあるので注意が必要になります。詳しくは以下に記していきます。

神経再生時に起きる合併症・後遺症とは

 顔面神経の再生時に「病的共同運動」や「ワニの目の涙」と呼ばれる症状が出てしまうことがあります。「病的共同運動」や「ワニの目の涙」の原因は、神経の混線にあると考えられます。神経の再生時に元々の神経どうしがつながり再生すれば元通りの表情筋の動きになるのですが、元々の神経どうしがつながらずに別の神経につながってしまった時に、口と眼の動きが連動してしまう「病的共同運動」や食事の時に涙が出てしまう「ワニの目の涙」という症状などが出てしまいます。

顔面神経麻痺のセルフケア

ソフトで優しいマッサージを

 前述したように筋肉は長期間にわたって使われず動かさないでいると凝り固まっていってしまいます。そうするとせっかく神経が再生しても表情筋の動きも鈍くなってしまいます。

 一番大切なのはソフトなマッサージを心がけることです。強すぎるマッサージはかえって筋肉にダメージを与えてしまう可能性もありますし、神経の正常な再生も阻害しかねません。強刺激のマッサージは逆効果になるとも考えられますので、指の腹や手のひらで少し物足りないと感じるくらいの優しくソフトなマッサージをするのがポイントになります。

表情筋の5指と関係するツボを刺激する

顔面神経麻痺のセルフケアによいつぼ-横

顔面神経麻痺のセルフケアによいつぼ-横

顔面神経麻痺のセルフケアによいつぼ

顔面神経麻痺のセルフケアによいつぼ-正面

翳風は5枝に分岐する前の幹に相当する部位なので絶対に不可欠なツボです。5枝を絡めて言うと、側頭枝だと魚腰、頬骨枝だと迎香・四白、頬筋枝だと地倉、下顎縁枝だと大迎・承漿、頸枝だと扶突。頬車は微妙な位置づけですが、幹の近くにあり下顎縁枝・頸枝のライン上にあります。

刺激のしかた&回数

指の腹でゆっくり押し込む感覚でやさしく押していって数秒間とどめ、その後はまたゆっくりと手を戻します。だいたい5回1セットを目安にします。ポイントはグリグリ強く押さないこと。強刺激のマッサージはその効果よりも弊害の方が大きい可能性がありますのでおすすめできません。

温めて血行改善

 神経の再生には全身を栄養する血液が必要になります。血流が充分でないと神経の再生にもマイナスになると考えられますので、顔面神経の5枝の分布を意識しながら効率良く患部を温めてあげるとよいでしょう。温めた蒸しタオルを使ったり、ホッカイロを使ったりして患部を温めることで血行改善を促します。ただし顔面神経麻痺の発症直後は強い炎症があるのでステロイドで炎症を抑える時期になります。発症初期は炎症が強い時期なので温めるべきではありません。

表情筋の運動のリハビリ

 表情筋の運動訓練は顔面神経が再生した後である程度動かせる状態になってからになります。まだ神経の再生前から動かそうとするのは悪いばかりではありませんが、強いて無理に大きく動かそうとしすぎるのはおすすめできません。以前、当院に来院した患者さんの一例ですが、大学病院のリハビリに行き、神経再生する前の動かない状態のまま非常に強い運動訓練をしたケースでは、そのリハビリ時点で動く筋肉だけが太く強くなってしまい、あとから再生し動かせるようになった筋肉とのアンバランスが目立ってしまっていました。

 運動訓練のポイントは、鏡で顔を見ながらリハビリをします。具体的には、額のしわを寄せる、目を大きく見開いたり閉じたりする、小鼻を動かす、頬をふくらませる、口をイーっとするなど表情筋をそれぞれゆっくりと軽く動かします。やはり強く大きく動かすことはおすすめできません。

 一番大切なのは、各パーツごとに動かすことを意識しながら運動訓練することです。口を動かす時は口だけにして一緒に目を見開いたり閉じたりはしないようにしましょう。前述した「病的共同運動」を誘発しないためにも各パーツごとに筋肉を動かします。

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